Filed under: ハッチバック, 試乗記, デザイン/スタイル, フランス

アバンギャルドぶりで名を馳せた往年の名車のネーミングを引用して、当初はシトロエンの上級モデルラインとしてスタートしたDSは、今やPSAグループ内に於ける独立したプレミアムブランドとして存在感を着々と積み増しているところだ。キーワードはパリ。DSはフランスのブランドではなく、パリのブランドだと標榜しているところが興味を惹く。単なるラグジュアリーではなく、洒落ていて、情熱を掻き立て、ロマンチックで......。指向しているのは、そんなプレミアムなのだ。
そんなDSのラインナップ3モデルの最新型に、一気に試乗する機会があった。さて、ブランドのコンセプトはそのクルマに、どんな風に表現されているだろうか。


プレミアムコンパクトカー、DS3の最新アップデートではフロントフェイスが新しくなっている。大型のフロントグリルの周囲をぐるりと囲み、そこからヘッドライト下まで翼を伸ばした"DSウイング"と呼ばれるクロームの装飾、LEDとキセノンランプで構成されたDS LEDビジョンから成る新しい顔は、従来からの飛び切りお洒落なイメージを崩さず、見事に一段上のラグジュアリー感を醸し出しているように映る。


ブラックアウトされたピラーにより浮き上がったように見えるルーフ、シャークフィンのような形状に見えるBピラー、そして3D効果が与えられた見るほどに引き込まれるLEDテールランプといったデザイン要素は踏襲。キャラクターは、更に引き立てられている。


試乗したのはDS3カブリオ。MINIコンバーチブルなどのライバルに乗車定員4名が多い中、貴重な5人乗りのコンパクト・オープンは、更にリアウインドウの周囲がキャンバスのルーフと同じ柄で彩られるようになったのも変更のポイントだ。

ルーフフレームが残るタイプのオープンは、十分な開放感を味わえる一方で、適度な囲まれ感のおかげで周囲の目線があまり気にならない。つまり街中だろうとオープンエアでのドライブを思い切り満喫できるのが嬉しい。


ボディは物凄く剛性感があるというわけではないが、やはりしなやかな味付けのサスペンションとのバランスはよく取れている。コシのあるストロークのおかげで姿勢のコントロールが容易で、ハンドリングも思いのまま。飛ばさなくても充実感はたっぷりだ。

6速ATと組み合わされた直列3気筒1.2ℓターボ エンジンは、全域でしっかりと力が漲り、小気味良い走りが可能だ。今やMINIも3気筒ターボエンジンを積んでいるが、それらしい音や振動は、こちらの方が小さく感じられる。


見るからにお洒落で、走りがとにかく気持ち良く、充実した時間を過ごすことができる。しかも、あらゆる要素がフツウではなく、このクルマ独自の味わいを持っているのが、DS3カブリオである。全部で55パターンにも達するボディ色とルーフの組み合わせ、豊富なオプションで自分だけの1台を仕上げるのも楽しそうだ。
Continue reading 【試乗記】DSブランドの目指すところが、くっきり明確になってきた:島下泰久
【試乗記】DSブランドの目指すところが、くっきり明確になってきた:島下泰久 originally appeared on Autoblog Japan on Sat, 17 Dec 2016 03:00:00 EST. Please see our terms for use of feeds.
Permalink | Email this | Comments